ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

三島由紀夫の精神分析的挑戦状「音楽(1970年)」(File.226)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

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日本人で三島由紀夫を知らない人はいないと思います。

ノーベル文学賞候補にもなった稀有な小説家ですが、その作品云々は知らなくても、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に乱入、自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけた後に割腹自殺をした事件(三島事件楯の会事件、1970年11月25日)は余りにも有名。

私の手元にある新潮文庫の「音楽」の発行日は1970年02月20日になっています。

もう十年以上、精神分析に関わっておりながら、三島由紀夫が「精神分析」を小説の舞台としてとりあげている本作の存在に気が付かなかったのは不徳の致すところと思えるのですが、私がこの小説「音楽」にたどり着いたのも不思議なきっかけでした。

先に、とりあげた荻野目慶子さんの自伝「女優の夜」の中に、不倫相手の深作欣二監督とセックスした時に「音楽」を聴いたとの件があり、それは稀に起こる「共感覚」と言う現象であると認識していたのですが、何かの検索結果の先に、三島由紀夫氏の作品で精神分析を扱った「音楽」と言うタイトルが存在する事を知り、早速アマゾンで取り寄せた次第。

すでの50年近く前の作品で「余りに古臭いと困るな」と思いながら一読したところ、時代的な古さは感じるものの、精神分析の概念はしっかり取り込まれており、三島由紀夫氏の博識ぶりがうかがえました。夢分析にはまったく触れられていません。

参考文献として「古沢平作 精神分析学理解のために(1958年)」が表記してあります。古沢平作氏は、日本の医学者、精神科医東北帝国大学助教授。日本に精神分析をもたらした。1955年日本精神分析学会を創設し初代会長となった。古澤自身はほとんど著作はなく、一般には小此木啓吾の紹介によって知られるようになった。・・・と、ほとんど、日本における精神分析の父的立場におられる方らしい。

さて「音楽」ですが、予想したよりハイレベルで、今読んでも、読み物として成立しており、精神分析的知識の無い人が、いきなり読んでも「あぁ、そう言う事ってあるかもねぇ」くらいのレベルで理解できる内容になっていると思います。

逆に、50年前近く前の日本で、兄と妹の近親相姦を物語のからくりに持ってくる方がセンセーショナルだったかもしれないと思いました。犬神家の一族も夫が妻を他の男に抱かせる件がありましたっけ?

昨今は、うつ病や過労死が当たり前の様に社会問題として取り上げられ、肉体的な大変さより、メンタルケアに世間の関心が向くようになって来たのは良い事・・と思いながらも、相変わらず、薬による対処治療でなんとか場渡り的に問題を回避する事案が目につき、真剣に、自分の心の有様と対峙しようとする人は少数派とお見受けします。

三島由紀夫氏に関してはもう少し研究して、月刊 精神分析シリーズで取り上げたいと思います。

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