ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

原付バイクと16歳の精神分析的考察(File.047 )

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

昨今、ホンダとヤマハの原付バイクの製造販売での業務提携がトピックになっていたのでちょっと調べてみた。

進志崇献(しんしそうけん): lacan.msl.f@gmail.com

現在53歳の私が原付免許を取得したのは、今から37年前の事、1979年。ネットで検索すると、ホンダとヤマハが乱売合戦を繰り広げたいわゆるHY戦争が1979年(昭和54年)頃から1983年(昭和58年)・・・とされているので、タイミング的にドンピシャで、私は購入者側でHY戦争に参加していた事になる。

16歳の私。

精神的には、親の支配からの脱却を目指して、まず原付免許の取得を目指した。これがないと話にならない。運転免許試験場で「ずばり!」などと称する模擬問題集を購入したのを覚えている。なにしろ、バイクを手に入れて、時間とガソリンさえ手配できれば、自由に何処へでも走っていける。あらゆる支配や拘束から解放されるのだ。親にしてみれば、子どもがバイクに乗る事は当然事故に遭うリスクがあるし、反社会的なネットワークの入り口であるかのようにみえたりするのであろう、更に無意識的に「分離不安」が頭を擡げ、子どもがバイクに乗る事には概ね反対する。バイクを奨励する親は少数派で、16歳の子どもを管理する社会的装置の高校側にすれば、生徒がバイクに乗って事故にあって死傷ともなれば管理責任を問われる。ここで発生するのが名高い「バイク三ない運動」である。「免許を取らせない」「買わせない」「運転させない」。乗りたい、乗らせたくない、経済的な好景気を背景に、親、学校を巻き込んだ事態に発展していくのだった。

普通に考えれば法律的に16歳になれば原付免許が取得できる事は明記してある権利なので親や学校側に不利な話なのだが、世は暴走族が社会問題している時期でもあり、バイクに対する世間一般のイメージがあまりヨロシク無かったにも事実。

バイクには反対するのに、就職時期が近づくと普通免許の取得は奨励される。こう言う局面で世の中の不合理とか、大人社会の本音と建前を学習するのであった。

先に16歳の誕生日を迎えている友人・知人は免許を取り始め、誇らしく免許証をみせてくれる。うらやまし~!。友人・知人は持っているのに、自分にはまだない。

明らかに、私は他者の欲望を欲する。・・である。

こうなると、気持ち(関心)は先走って免許を取ったその先の「どのバイクを購入するか?」に向う。バイク雑誌を購入するのはこの辺りから。

ホンダはCB、ヤマハはRD、スズキはRG、カワサキ原動機付自転車を持っていなかったARが発売されるのは1981年。で、このタイミングでホンダがMB50を発売(1979年04月18日)する。ホンダは4ストロークのCBを持っていたのだが、パンチ力がある2ストロークエンジンを市場投入した・・・ホンダの開発者がインタビューで答えている新聞記事を読んだのを覚えている。従来車は横並びの6.3馬力だったのに、MBは7.2馬力。斬新なデザイン、釣鐘式燃焼室のエンジン。コムスターホイール。レーサーのような低いハンドル。新車価格が13万7千円だったような記憶がする。時給700円のバイトをどんだけすれば貯める事ができるか何回も何回も考えた。

私の中では青春時代、憧れた原付バイクは、ホンダMB50と言う事になるが、実際には、友人の林英明君からスズキハスラー50を譲ってもらった。林君は熊本ホンダに就職したときいた。

16歳の男の子にしてみれば、どのバイクに乗るのかは?自分のシンボル:象徴の選択で、ファルスの獲得そのものであった。人間関係においても、CBに乗ってる本田君、RDに乗ってる中村君、RGに乗ってる鈴木君・・と呼称されるので、自分がどのバイクに乗るのかは最重要決定事項であるのだ。

どんなに安くても、自分の好みと外れたバイクには乗りたくない。それはバイクがファルス(男根)的象徴:シンボルだからだ。

この辺は、女性が自分のコダワリのファッション以外で街にいけないのと一緒なのかもしれない。

こうして、男はシンボルを獲得した後、自己同一性を有し、バイクの次は車を獲得、高校卒業すれば大学を選択、大学を卒業すれば職業を選択、職業を選択した後は配偶者選択・・。主体性を持って、自分が自分として社会と適合し生きていくのである・・・事実、私達の世代は、取り敢えずかもしれないが、それなりの大学を卒業し、それなりに名の通った企業に就職でき、終わりのない日常が続くと信じていたのである。バブルが崩壊(1989年)するまでは。

今の現役高校生は何に興味関心を持っているのだろうか?少なくとも16歳の誕生日を待ちわびて原付免許を取得してバイクを購入する文化は廃れてしまったのだろう。今、メーカーのサイトを眺めてみても、ホンダエイプ50が27万円。スズキアドレスV50が15万5千円。・・・そもそも50CCロードスポーツと言うカテゴリー自体が消滅しているのである。いいも悪いも無いものは無いのである。欲望の対象は既にない。

16歳の儀式というと、その昔は「元服」と言う儀式があった。誰にも青春の門通過儀礼がある。現代の若者は、16歳で、如何なる通過儀礼をしているのであろうか?

ネット検索してみると

2012年のリクナビのアンケート結果にはこうある。・・金剛寺千鶴子編集長:スマホが普及し、高校生のスマホ所有率が昨年の2.6倍(14.9%→39.2%)と急増している中で、 コミュニケーションの手法が変わり、娯楽が増え、ネット通販で外出しなくても物が買えるようになり、 高校生の生活全般にも強い影響を与えています。 いつでも、気軽に、誰とでも、どこへでも、簡単につながれる便利で楽しい世の中に なったはずなのに、「いじめ」「自殺」「虐待」といった、心の豊かさには程遠い印象もありました。

以上引用

携帯電話の普及が音楽CDや雑誌の売上を阻害していると言う話は以前からあったが、今や、小学生でさえスマホを所持するのが当たり前で「ポケモンGO」している時代である。こういう世の中の変化が、私達の精神発達にどのような変化をもたらすのか?興味津津である。

自分が居場所としていた携帯電話の掲示板を荒らされ、職場でツナギ(作業服)がない事に激昂した加藤智大は秋葉原歩行者天国で17人が死傷する殺傷事件を起こした。2008年(平成20年)06月08日のこと。

あなたはスマホの液晶画面の向こうに何をみていますか?

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