ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

女優の夜 荻野目慶子 深作欣二監督 不倫関係の精神分析的考察(File.021)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

荻野目慶子さんの「女優の夜(2002年)」を読んでいると、つくづく人の業を感じてしまう。

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荻野目慶子さんの記事をまとめました。

荻野目慶子 河合義隆 深作欣二 女優の夜 月刊 精神分析2017年01月



Amazonプライムビデオのお陰で、見逃していた過去作が手軽にチェック出来るようになった。隙間時間でチェックしていくのもなかなか大変ですが、今回、取り上げるのは・・。

いつかギラギラする日(1992年)」深作欣二監督作品。たまたま視聴可能リストに出ていて、懐かしくてチェックしました。初見は劇場ではなくレンタルビデオだったと思います。出演者は「萩原健一」「木村一八」「荻野目慶子」「石橋蓮司」「千葉真一」豪華キャストで、現金輸送車から強奪した現ナマをめぐる仲間割れを描く。荻野目慶子は犯人グループの男どもをたぶらかすルパン三世峰不二子的な役回り。

道内をぶっ飛ばす真っ赤なムスタングが印象的。

劇中の「荻野目慶子」の演技を見ながら「そう言えば、荻野目さんは深作欣二監督の愛人だったんだよな」と思いながら、ネット上の情報を拾って彼女の著書「女優の夜(2002年)」の入手へ至った。

ネットで「荻野目慶子」=「魔性の女」と評されている件が目につく。

簡単に言えば、妻子ある映画監督:河合義隆氏と2年半の同棲後、河合氏は荻野目さんのマンションで首吊り自殺、1990年4月30日。当時、大スキャンダルとしてマスコミを騒がせ、実妹荻野目洋子さん(ダンシング・ヒーロー:1985年で有名)が姉の代わりに謝罪会見を行うなどスッタモンダした。

更に「いつかギラギラする日(1992年)」の撮影中、深作欣二監督(もちろん妻子あり)とも男女の関係になり不倫関係を10年近くに渡って継続。

深作欣二監督は「バトル・ロワイアルII 鎮魂歌 (2003)」を撮影中に前立腺ガン-肺炎により亡くなる。撮影は長男の深作健太(長男)監督引き継いだ。「女優の夜(2002年)」は深作欣二監督が亡くなる1年前に出版された事になる。

「女優の夜」に目を通すと、男を誑(たぶら)かし自滅へと追い込んでいく「魔性の女」と言う生き方でなく、男性が求めるものを与えた結果そうなったと言う記述が目立つ。河合義隆に関して言えば、職なし、金無し、奥さんと別れる事もできず、荻野目慶子のマンションに入り浸っているヒモ状態、更に暴力をふるうDV男で、親からみたら「さっさと別れてしまいなさい」と言う男でしかない。

深作欣二監督にしても立派な妻子持ち。妻は「女優:中原早苗」で長男は「深作健太」。「いつかギラギラする日(1992年)」撮影時、深作欣二監督は62歳、荻野目慶子は28歳で34歳もの歳の差があるのだ。世間からすれば「なんでまた一線で活躍している女優さんがそんなお父さん以上の歳の人と不倫しなくても」と言う評価になるであろう。

ここから精神分析的考察----

「女優の夜」に荻野目慶子さんが書いたフレーズでこういうのがあった「私は男性の元に跪(ひざまず)きたいと願った。これは身体だけでなく、精神的にも、だ。」特徴的である。彼女の養育史を詳しくきいた訳ではないのだが、異性に対して「支配されたい欲求」や「従属したい」と言う欲求があったのだと推測できる。

更に、既婚者と関係を繰り返し継続しているのは、自分の父との関係の焼き直しと受け取れる。だって、自分の母と結婚している一番身近な人(既婚者)は「実父」以外に他ならないのだから。つまり、荻野目慶子さんにとって河合義隆監督も深作欣二監督も「実父」の代用品であったと理解すればこの不可思議な関係性を納得できる。不倫の相手でありながら、無理難題を要求されながらも、それを受け入れ継続できたのは、それが「父」-「娘」の近親相姦関係であったと解釈すれば釈然とします。

女優:荻野目慶子からすれば「監督」や「演出家」の類は、跪く対象であったと言う事。

ヤフー知恵袋をさらっとのぞけば、夫婦問題や、親子関係、親戚対応など問題のオンパレードである。婚姻届にサインして判子ついて結婚生活を始めたなら、大人しく夫婦関係と言う枠に収まっていればいいものを、精神という厄介なものを抱えた人間は、その「形式」の枠からはみ出し、色々な事をやらかします。

荻野目慶子さんの告白本「女優の夜」を読んでも「人間って身勝手で腹立たしいもの」と言う感想より「人間って難儀なものだなぁ」と言う感情が湧いてくる。荻野目慶子に旦那(河合義隆氏)を寝取られた格好の河合義隆氏の奥さんは、一言も荻野目さんを非難する言葉を吐かなかったそうだ。多分、奥さんには、河合義隆氏が家に戻らず荻野目慶子さんと不倫してしまう訳を理解し、自殺を選んだ訳も理解しておられる方だったのだろう。そうでなけば、P.58「この件に関しては、これ以上何人(なんぴと)も傷つけてはならない」という言葉でマスコミに対処し、全てを終わられてしまえたのだろう。・・・などという展開はありえない。

人の感情は、とったとられた・・よりずっと深いところで渦巻いているのだ。

あと、興味深かったのは、荻野目慶子さんが深作欣二監督とセックスした時に「あの音楽が聴こえたのだ。」と記述している件。

あの音楽ってどんな曲って荻野目慶子さんにきいても、それは口遊む類のものでは無い。
精神分析の世界に「共感覚」というのがある。

ある刺激に対して、それだけでなく異なる種類の感覚を同時に感じる知覚現象のこと。音を聴くと、色が見えるといった現象もこれに当たる。

アクメに達し時に「宙に浮いている様な感じ」がすると同様に、荻野目慶子さんには「あの音楽」が聴こえたと言う事なのだろう。

荻野目慶子さんの近況----

ネットの情報では2012年12月31日に、一般の男性と結婚されたとの事。

2015年04月10日 に公開されたYoutubeの動画には以下の注釈文が・・

アイ・ヘルパースクールの介護職員初任者研修修了生で、女優の荻野目慶子さんが音楽クリエー-ションをもって介護施設へ慰問。利用者さんに好まれる歌のベストテンを発表トークしています。

荻野目慶子さんどうぞお幸せに。

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