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ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

自己愛を必死で守るB君が恐ろしい。あるタクシー乗務員の告白。(File.252)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト
http://lacan.agency-inc.com/

私があるタクシー会社に勤務していた時の話で「自己愛」を理解する為のよい事例があるのでお話します。

登場人物は私:A。後輩乗務員:B君。

業界に入ったのはほぼ同時期なのですが、会社に入ったのは私が先ですので、一応私が先輩です。

で、B君なんですが、言ってしまえば要注意乗務員で、しょっちゅう小さな事故を起こしたり、お客さんとのトラブルを発生させる。・・「いつかでかい事故を起こすのではないか?」と管理する方からみれば、目を離せない乗務員です。

さて、ある夜、楽しいアミューズメント施設「ラウンドワン」にお客さまを迎えに行きました。無線室からの指示で2台のうちの1台として私が呼ばれました。

ラウンドワン」に到着すると、もう1台は既に到着していて、お客様が私の車に乗り込まれました。いつもの様に運転し、目的地について料金を払ってもらって「ほっ」としていたら。B君が私のところにやって来ました。呼ばれた2台のタクシーのうちもう1台はB君だったのです。

B君いわく「Aさん、定員オーバーですよ」・・と。

ん?あれ、そうだっけ?大人2人と子ども3人じゃなかったけ?・・「子ども3人で大人2人換算」なので、B君の言うとおり定員オーバーなら、ひょっとしたらお母さんの膝に小さなお子さまが乗られていたのかもしれない・・・が、。今となっては確認のしようもないし、警察の厄介になったわけでもないし、お客様からクレームが来たわけでもないので、「まぁ問題にならなくてよかった」くらいの認識でいた。

ところが、問題は大きくなっていく。しばらくして無線室の運行管理者から私へ定員オーバーで運行した事を厳重注意する「お咎め」がきた。いつものようにネチネチと運行管理者がイヤ言を延々と述べる。はいはいと受け止めたほうが早く済む。

そう、悪い言葉を遣うとB君が「私の定員オーバー」を運行管理者にチクったのだ。

なぜに?その日は営業が終わった後も、何か後味が悪くて熟睡できなかった。

翌日、早めに出勤して、事の次第を営業所長に訴えた。

私の言い分はこうである。「たしかに定員オーバーで営業したのは、私の落ち度ですが、私が納得いかないのは、Bが先にお客様とお乗せする時に、後から来た私が定員オーバー状態になる事をわかっているのにも関わらず、何も対処もせずに、営業が終わった後に、運行管理者にチクるのは、私を罠にハメたのも同然の行為なのでは?」と。

「本来なら、定員オーバーを認識した時点で、その旨を無線室に連絡し、無線室とお客様の間で話していただくのが筋ではないか?」と。

営業所長の話によると、昨夜のお客様は、ご自宅から「ラウンドワン」への往路も、既に定員オーバー状態であった事が発覚していた。

まぁ、お客様のタクシーに対する定員感覚はそう言うもので、小さい子が1人定員オーバーになるからと言って、更にもう1台タクシーを呼ぶ事になれば、それはそれで、お客さんと無線室の間で一悶着ありそうな感じがする。

さて、問題のB君はあのようなチクリ行為をわざわざしたのか?営業所長の見解はこうだった。平素から、小事故、小クレームを多発しているB君にしてみれば「悪いのは自分だけではなく、他の乗務員も小さな違法行為はしているでしょ」と会社に対していアピールしたいがために、あの様なチクリ行為をしたのだろう・・・と。

つまり、B君にしてみれば、あくまでも「自分の正当性」の会社組織へのアピール行為であり、私を陥れようとする事は意図していなかったと言う事になる。

それでも、私(A先輩)にしてみれば、あの無線室のネチネチ説教には嫌気がさしているので、いい迷惑で、この事件で、実害を被った私にしてみれば、対個人的な付き合いに関してもB君は要注意人物とみなす事となったのだが、B君の私に対する態度は事件前とまったく変わらず「あぁこの人は、私に対する心配りはなく、自分の正当性に囚われている人なんだな」と言う認識を新たにした。

精神分析の世界に入って「精神発達論」や「自己愛論」を学ぶと「自己愛」と言うものが、人の人格形成や平素の行動にどんだけ影響を及ぼしているのか恐ろしく感じる事がある。


B君の精神内界には、B君にしかわからない「自己愛」があって、決して他者から貶められない自分がいるのである。それが、世間の常識や道路交通法にそぐわなくても関係ない。

言ってみれば、他者にはわからないB君だけの正義があるのである。

その構造を紐解いていくのがセラピーであったり、精神分析である。

B君にしてみれば、自分の自己愛の正当性を主張する為なら、先輩A(私)が無線室からごちゃごちゃ言われるくらい当然と言う事なのだ。だって、道路交通法違反をしたのだから・・そう言う理屈である。

その後、B君は他社に移籍して今もタクシードライバーを続けている。会社が変わっても、B君の自己愛は不変であって、何も変わりはしない。よって、小さな事故、お客さんとのトラブル発生も今までと変わらない。人の精神構造とはそう言うものだ。

自己愛をなめてはいけない。

加藤智大君を覚えているだろうか。

2008年6月8日、東京都千代田区秋葉原で無差別殺傷事件をおこし、7人の他者を刺殺した加藤智大死刑囚。彼は、自分が大切にしていた携帯電話(ガラケー)の掲示板をアラシに荒らされた事に怒り心頭。「掲示板を荒らす事をやめろ!」とアピールする為に、事件を起こしたのである。

なぜに、掲示板を荒らされた位で、そんな大それた事をしてしまったのか?加藤智大君の養育環境や家族関係が大いにマスコミに取り上げられた。

人は自己愛を守る為に、自ら命を断つこともあれば、無差別に他人を殺す事もいとわないのだ。

無線室にチクられたくらいでよかった。


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