ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

変わりゆく地域の風景、失われる味(File.220)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

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実家の近くを通ったら博多女子高校の校舎の新築工事が行われていた。そこにあって当然の風景が変わっていくのは、何気に寂しいものである。

私は道挟んで対面にあった福岡市立馬出小学校(現在は市営住宅になっている)で学童時代を過ごしたので、校舎の窓からみえる景色として博多女子高校の校舎は「そこにある景色」だった。

校舎の上にバレーボールのコートがある校舎で、昭和にしてはハイカラなつくりであったと記憶している。スケッチ大会で描いた事もあるから蒲鉾(かまぼこ)状の屋根もしっかり記憶している。

今はどうか知らないが博多女子高校は、昔は博多女子商業高校と称していて、バレーボールの強豪校で「横山樹理」さん等の有名プレーヤー(笑っていいともに出演)を排出した。

もう50年以上生きていると、かつて父や祖母が戦争時代の事を語ったかの如く、昔の事を語れる様になってしまった・・と自分自身の年齢を感じてしまう。

石油ショックを経験した僕達の世代が高度成長期からバブル経済に突入していく中、街の景色も大きくかわった。吉塚、馬出、箱崎界隈の昔の景色を思い浮かべると、JR吉塚駅箱崎駅も新築。東公園の半分の面積が天神から移ってきた福岡県庁に変わって、馬出小学校は市営住宅へ、路面電車は地下鉄へ。九州大学付属病院は残留したものの、九州大学箱崎キャンパスは消滅。旧宿場町街道から3号線に人の流れが変わった・・と言うか、人が車で移動する事が当たり前になったと言う事だが・・・。

ずっと変わらないのは筥崎宮くらい・・。僕にとっては夏休みのラジオ体操をするところ。

戦争末期、馬出、箱崎地域は空襲に遭わなかった校区で、平屋の木造家屋(悪く言えば長屋)が殆どで、戦前の面影を残している裏路地文化(個人商店、駄菓子屋)などが普通にある地域だった、それもコンビニの普及で風前の灯火で。

実家の近くで昔ながらの飲食店と言えば、鶏のオイル焼きの「犬丸」さんに「再来軒」のラーメンくらいだろうか?もう八百屋の安武さんの隣の20円コロッケを食べる事はできない。箱崎の網屋町の角の「赤のれん(ラーメン)」も、もうない。

食べログでいくら「あの店の味」を表現して伝えようと思っても、あの時代、あの日あの時あの場所で体験した味覚は二度と再現できないのだ。

多分、今の僕の舌で感じる味覚と、学生時代の僕の舌が感じる味覚は異なっているものに違いない。たまに「あれ?この店の味ってこんなんだったかな?」と脳内味覚を焦って検索する事がある。

時代を一緒に過ごした友人知人と感じたあの味による多幸感はもう二度と帰ってこないのだ。

中洲の交差点。今「庄や」がある場所の建物。1階は「ヤマダの甘栗」。赤い絨毯が敷いてある急な狭い階段を昇るとそこに「湖月のカレー」があった。昔から博多に住んでいる人なら知っている筈。昭和のカレー。当時、父と一緒に「湖月のカレー」を食べた事は今でもはっきり覚えている。サラサラのルーのカレーで野菜がゴロゴロ入っている家庭のカレーとは異なっていて、なんとも高級感、特別感を感じるカレーだった。父は小学生の私に「じゃかいもは既にルーに溶けとうとよ」と言ったが、後年、湖月のカレーには最初からじゃがいもは入って無かった事が発覚して、父の知ったかぶりに苦笑した。

時代は変わって「平成」となり、なかなか難しい時代になりました。

昭和は、昨日より今日、今日より明日がよくなると信じて疑わない時代でした。


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