ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

雨宮まみ BL(ボーイズラブ) の考察 (File.154)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

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雨宮まみさんのト報を受けて彼女の著書の「女子をこじらせて」を読みました。精神分析家からみると、興味深い記述が多く大変面白かったです。

先に亡くなったばかりの人の事を取り上げて「面白い」とは少々不謹慎な気がしますが、物書きとはそういう宿命を背負う覚悟をした人達の事だと思います。

今回はBL(ボーイズラブ)を取り上げます。

精神分析の世界ではジャンル的に「性倒錯」的な延長線上で語られるBLでありますが・・。

私の中のBLは「男っぽい女性が好むジャンルで、女性は異性に対してBLを理解してもらおうとはせず、いや、むしろ異性の介入を拒否するので、理解に苦しむ世界だなと思っていた。

その後、学生時代に興味を持ったコミケで売られている「やおい」と「BL」が同意のものと認識。

ここで腐女子という言葉の解説を挿入しておきます。

以下引用

腐女子(ふじょし)とは、やおいボーイズラブ(BL)と呼ばれる男性同士の恋愛を扱った小説や漫画などを好む女性のことである。「婦女子」(ふじょし)をもじった呼称である。以前はヤオラー、やおい少女とも呼ばれていた。腐女子という言葉は、1990年代末にネット上で使用が確認されており、2005年頃から一般にも認知されるようになった。

以上引用

斎藤環さんの「生き延びるためのラカン(2006年)」のBLについての記述を引用すると。以下引用。P.162~

とりわけ「腐女子」は、「関係性」を重視する。彼女たちは、虚構作品に出てくるキャラクターどうしの関係性が、次第に性愛的なものに変化していくダイナミズムを楽しんでいるらしい。このとき、もはや彼女たちは、みずからの立ち位置なんか、どうでもよくなってしまっている。むしろ自分の存在を完璧に消し去れるほど、享楽も大きくなるようなのだ。だから、自分の立場を投影する女性キャラの存在なんて、邪魔なだけだ。そんな「日常」っぽい不純物が紛れ込んだら、享楽の純粋さが汚されてしまうから。「おたく」は作品を分析したり、語ったりする傾向があるけれど、「腐女子」にはそういう傾向はほとんどない。彼女たちは作品を読み、あるいは作ることを本当に「享楽」しているので、それを語ったり分析したりしたがらない。そういう行為は、やはり享楽の完璧さに傷をつけてしまうのだ。

以上引用。

腐女子がBL・やおいを好む理由。これは、性倒錯ではなく、ちょっと複雑な心の作用の現れと言ってよい。リアルな性の立ち位置は女性、ところが、自己評価が低いなど、リアルでの異性愛は成立できない。では、同性愛に走るかと言うと、女同士の精神的な高ぶりも想像できない。

ネット検索していると「女の友情はハムより薄い」というワードが出てきてちょっと笑ってしまった。女性間の交流は精神よりも感情優先なのだ。理屈で云々と言う世界ではない。義理人情の世界ではないのだ。女性に「走れメロス」はない。

少年ジャンプの作品群の三大テーマは「友情」「努力」「勝利」である。

そこで、男の友情物語の発展系-恋愛物語のBLの世界観が好まれると言う事だ。

腐女子は自分の女性と言う立場を否定し、主体の選択を男性とする。BLの作品中の愛されている男性キャラに自分に投影して、嫉妬や憎しみ汚れのない純粋な恋愛物語に享楽するのだ。

一般にも言われる「男は単純・女は複雑」

フランスの精神分析ジャック・ラカンは言いました。

「女は存在しない」

映画「桐島、部活やめるってよ(2012年)」の劇中でこう言うシーンがありました。男子生徒の会話「女ってわかんないよな」。その直ぐ側を通り過ぎる女生徒(橋本愛)がこうい呟く「そうよね、私も女だけど」。

女性は難しいのだ。

以下「女性をこじらせて」雨宮まみから引用

「私がボーイズラブを通って男向けのエロに興味を持ったのは当然のなりゆきだったと思います」

中学校時代、自己評価が低かった雨宮さんは思春期でにきび顔になってしまい、病院に行っても治らず、自分は成長しても「大人の色っぽい女の人」にはなれないのではないか?と悩み、自分への不潔感や嫌悪感から・・・普通の恋愛漫画すら苦痛に感じる様になり、「女であることから逃げる」ための逃避先としてやおいを利用しました。・・と。更に、やおいにハマるあまり、私は「男の子になりたい」とすら思うようになりました。

雨宮まみさんの場合は、自己肯定感や万能感が強ければ、自分の女性性を否定してまでもBL(ボーイズラブ)に走るところまでは行かなかったのかな?と思えますが、それが、総じて俯瞰的視点でみた時に、彼女の人生上、是か否はわかりません。

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