ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

映画「何者(2016年)」精神分析的考察2(File.127)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

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現代の学生の就活シーンを描いた映画作品を取り上げ、自身の就職活動(1985年入社)も記録しておく。

TBSラジオの宇多丸師匠の番組で「桐島、部活やめるってよ(2012年)」と同様、映画「何者(2016年)」の中での自分の立ち位置はどこだったか?とか自分の就活はどうだったか?とかあつく語られていたので私的就職活動記を残しておこうと思う。

<バブル期の就活>

私が就職したのは1985年で、実際の就職活動は大学4年の1984年。日本経済は1989年のバブル崩壊に向かって最後の輝きを放っている時だった。当時はもちろん「就活」と言う言葉もなく、単に就職活動と言っていた。

言うまでもなく超売手市場の商いが続いており、企業の採用担当者はとにかく人手不足にならないように必死で学生を集めていた。毎年、卒業する学生の数は限られているので、総務部・人事部は必死だったと思う。

会社紹介の分厚い本が自宅にガンガン郵送されてきて、とじ込みの資料請求ハガキを郵便ポストに投函すれば、耐久消費財のカタログまがいの企業案内パンフレットが山の様に届いた。

SNSなんて無かった時代の話だが、人の口に戸は建てられない。色々な風評や都市伝説の様な話も飛び込んできた。

例えば、九州から東京の会社の面接に行けば、交通費は全額支給されるので、複数社まとめて受ければ、数社分の交通費を懐(ふところ)に入れる事ができるとか、なんとか会社は内定が決まったら入社前研修で旅行に行けるとか?おいおいマジか?と言いたくなるような話が聴こえてきた。

<私の就活>

私はゼミの教授から「理系ははやく動かないとすぐに決まるよ」と脅かされていたので、4月の募集で5月頃には第一希望のメーカー系の会社に入社が決まって(内定獲得)、8月には自主的に卒業記念旅行に出かけた。もう30年前の事だが、他社を受けた記憶もなく、簡単に第一希望の地元の会社に入社した事になる。

企業に入社するとまとまった休みも取れなくなるので、この際、夏休みは長期の旅行に出かけましょうと言う構図だ。海外旅行は?と思って1984年当時の為替レートをチェックしてみたらなんと1ドル:200円~250円。ハイパー円安である。海外旅行はまだまだ高嶺の花。逆に国内製造業&輸出業は勢いがあった筈だ(当時の時代背景)。

自分としては真面目に勉強した結果と思いたかったのだが、ろくすっぽ大学に来ない。講義は代返で済ませていたちゃらんぽらん学生もそれなりの名の通った企業に就職できていたので「時代がそういう時代だった」と言う事。

事実、政界疑獄事件にまで発展した「リクルート事件(1988年)」も、元はと言えば、企業の学生採用熱マネーが政界に流れ込んだ構図である。やたら儲かる会社は金の使い方を間違う事がある。昭電疑獄事件や造船疑獄事件、東京佐川急便事件など。

宇多丸師匠は当時の就職状況を描いた映画作品として「就職戦線異状なし(1991年)」を推薦されていた。現実には公開日はバブル崩壊後なのだが、織田裕二的場浩司和久井映見坂上忍らの豪華キャストでバブル期の狂った世情を記録している。参考に鑑賞して欲しい。

バブル崩壊へ>

1985年入社:50名、1986年入社:100名、1987年入社:150名、1988年入社:200名。当時の社内報には「九州エリアのサービスを1000人体制で!」と発言する社長のコメントが踊っていた。しかしである、1989年にバブル崩壊後の採用控えは凄まじく。百名単位で社員を採用していた企業が一気に数名単位にまで採用数を絞ったのである。

実際、パイオニア社が内定取り消しした事がニュースとして報道されていた。私自身「自社の総務部門が一旦出した内定を取消したがっている」と言う話を社内情報筋から聞いていた。

この後、滑り込みでバブル期入社を果たした学生の事を「バブリアン」と呼称したり「短大生の就職市場は土砂降りです」と報道されたり、雇用環境の激変ぶりは、日本社会に暗い影を落とす事になる。

我々、80年代後半入社組はバブル崩壊後「人材の不良債権」などと揶揄されレストラ対象社員となった。バブル時代に長期のローンを組んでマンションや高級車などの耐久消費財を購入していた者は支払いを迫られ自己破産したり、自殺して生命保険で支払った人達も数多い。ちなみに私が最初に就職した会社は企業グループ内で合併され、その社名すら残っていない。

<現在の雇用環境>

景気のいい時代の「フリーター」や「派遣社員」は組織に属さなくてもやっていける独立した自由人と見られていた(ハケンの品格ってありましたよね)のが「収入不安定者」や「数ヶ月先の生活状況がわからない人」と目される様になった。

何としてでも正社員にしがみつく。公務員人気。こう言ったニュアンスはいかに雇用状況が厳しいかの表象。既に正社員として企業に属している人達でさえ、給与や賞与は締め付けられサービス残業しないとやっていけない過労死・リストラ・早期退職勧告が待っている。

贅沢をしない。金のかかる車やバイクは処分。金のかかる付き合いも控える。旅行や温泉もいかない。衣料品もすべてユニクロ。外食なんてもってのほか。百貨店には行かない、食材も超安スーパーで必要なものだけを購入する。・・が今(平成デフレ不況)の当たり前なのである。

1989年を境に株価は長期低落傾向。アベノミクスに微かな希望を繋いだものの2万円復帰がやっと。現在は1万7千円付近で低迷中。

<トランプ新米大統領>

さて、ここで大方の予想を裏切って新米大統領に就任する「トランプ」さん。色々ラジカルな政策を打ち出していたが、どこまで経済を活性化してくれるか見ものである。

<日本人の生活の実情>

バブル時代と比較する事自体が無意味というむきもあるが、日本政府の言う通り、若干のインフレが経済活動には適していると思う。しかしだ、まず、製造業が空洞化して大規模な雇用がなく、新産業も起こらない(人件費が高いんでしょ?)庶民がどうしても欲しくなるような魅力的な商品もでてこないのでは、どんだけ金利を下げても経済が活性化(インフレ)しないのはよくわかった。

心理学的にも、他者が必要と思わないものに、自分の欲望はわいてこないのだ。

たとえ、金利ZEROでも。いや、マイナス金利でも。

日本の場合、切迫した移民問題や人種差別問題はなく、銃器での銃撃事件もほぼほぼないので、つつましやかに、ゆっくりと高齢化を楽しむくらいの心構えでいいのではないだろうか?日本社会が総一億中流と思っていた青春期から青年期が過ぎ、バブル崩壊で一気に中年を迎え、ジタバタせずに終焉を迎えようとしている。今この時(平成デフレ不況)の余韻を楽しむ時ではなかろうか?

経済の話はよくわかりません。どなたか詳しい方のレクチャーをお願いします。

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