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ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

ミュージアム(2016年)の精神分析的考察 (File.122)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

猟奇殺人の謎解きゲームかと思いきや、精神分析的映画でした。オ・ス・ス・メです!

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト
http://lacan.agency-inc.com/

劇場予告で猟奇殺人の謎解きと犯人逮捕がテーマと思いきや、家庭を蔑ろにしているお父さんにはキツイ映画でした。

少女をアクリル樹脂詰めで殺した猟奇殺人犯が捕まり、陪審員裁判で死刑判決が出て「自殺」しちゃうんだけど。この死刑囚実は冤罪で、真犯人は別にいた。

この真犯人自らをアーティストと名乗り、今度は、自分の作品「少女樹脂詰め」を他人の作品と認定した裁判官と裁判員を作品の素材として、連続猟奇殺人を始める。

これが劇中の冒頭シーン。「ドッグフードの刑」 「母の痛みを知りましょうの刑」である。被害者が二人共猟奇殺人事件の裁判の陪審員であった事がわかり主人公の小栗旬に戦慄が走る。なぜなら妻の尾野真千子も、同じ事件の裁判の裁判員であったのだ。

タイミングの悪いことに、仕事に忙殺され家庭を蔑ろにする小栗旬に反旗を翻し、妻の尾野真千子は2週間前に子どもを連れて出ていったばかりで連絡がとれない。

妻と子どもが危ない!観客は一気に物語に引き込まえる。

そうこうしているうちにも、次々と、裁判官・陪審員に対する猟奇殺人が続く。「均等の愛の刑」「針千本のーますの刑」「ずっと美しくの刑」この後の、カーチェイスと、同僚が犠牲になるところまでは「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」よりも「ジェイソン・ボーン」よりもドキドキした。

ただカエル男の正体が「霧島早苗」とわかってからは、少々ご都合主義が見え隠れ。だいたいの物語の結末が見えて失速気味。

もっと昔に、資産家が猟奇殺人の被害者になる事件(夫婦が細切れにされたあと、1つの人間のように並べられた)があり、その資産家の子ども2人が霧島早苗(男子):霧島幹絵(女子)。霧島幹絵は橘家に養子に入り、女医の橘幹絵となる仕掛けがありーの・・・。

小栗旬が、犯人を「光線アレルギー者」と見込むのも都合がいいし、いくら脅されたとは言え、橘幹絵(女医)が守秘義務を犯してまで、兄で犯人の霧島早苗のカルテを提供するのも不自然。まぁ、小栗旬が乗り込んでこないと物語が先に進まないのでそれはそれで困るのだが。

小栗一家に科せられた刑は「お仕事見学の刑」。ここからが宣伝コピーの「最悪の結果を期待する」罠にハメられていくのだが、結局はハッピーエンドに向う。

以下、精神分析的考察

小栗旬、カエル男に怒られる>

物語の終盤「家庭を蔑ろにして来た」と後悔している小栗旬にカエル男が「おまえは、生きながらに家族を殺してきた」と迫るシーンがある。心当たりのあるご主人は胸が痛かった筈だ。家庭内で期待される父の仕事を蔑ろにして「ゴメンゴメン、今度ね」では、結果として家庭内で「父不在」、父視点で家庭と言うスクリーンに映し出される筈の妻も子ども存在せず=妻も子も殺された存在と言っていい。実は、カエル男の苦言は的を得ているのだ。今でも世間には父母から殺され続ける子ども達は沢山いる。

<橘幹絵(女医)の兄(霧島早苗)の疾病分析>

猟奇殺人犯の霧島早苗の光線アレルギーは実は心的なアレルギーで、治療法は2つあって、1つは心のトラウマに対峙する事。もう一つは・・・と言いながら女医の橘幹絵は霧島早苗の点滴に薬物を混入し早苗を毒殺する。もう一つの治療法は死んでもらうという事か?

<霧島早苗・橘幹絵の幼き日のトラウマ>

ネット上の解説サイトもチェックしてみた。霧島家資産家猟奇殺人事件を霧島早苗(男子)の最初の作品(犯行)と解説しているサイトも存在したが、映画の劇中で資産家猟奇殺人事件の回想シーンで登場する男子女子は、どうみても小学校低学年。両親を殺して細切れに出来るとは思えない。

もともと霧島早苗の実家は資産家で資金は潤沢。幼きに日に両親が惨殺されると言うトラウマを抱え、それが元で心的光線アレルギーを発症。狂った精神構造ゆえ、芸術的発露を猟奇殺人に昇華させた。

女医で妹の橘幹絵は「兄の病は心的なもの」と見抜いているのだから、もっとはやくセラピーなりなんなり心のケアを進言すべきであるところだが、妹の橘幹絵自身も幼き時代に同様の体験をしているのだから、精神構造に欠損を抱えていない筈もなく、最終的に、兄の殺害に至ったのは話の筋としては妥当かもしれない。

<父夫:小栗旬のトラウマ>

小栗旬が家庭を顧みないのも、実は、小栗旬の父も警察官であり家庭を蔑ろにした挙句、殉職。父の生き方に反発しながら、小栗旬自身もまるで父の生き方をコピーしたかの様な人生を歩んでしまう。これを「心的遺伝」とか、「親からの人生シナリオの伝達」と言う。父を嫌いながらも、現実には、父を嫌いな自分自身が父をモデルとした生き方をしてしまうのは世間に散見される出来事で、これも無意識(トラウマ)の成せる業といえる。

<事件は小栗旬の息子:将太の心の中でトラウマ化>

劇中のエンディングショット。珍しく息子:将太君の運動会に小栗旬がやってくる。ビデオカメラのファインダー越しに「将太、足速いんだ」「あなた将太の事、何も知らないでしょ?」と微笑ましい夫婦仲直りの会話で終わるのかなと思いながらみていたのだが、どうもそうではないらしい。ファインダー越しの将太君の様子が変。ムズムズするのだろうか?首のところを掻いている。

つまり、将太君は既に今回の事件を心の中でトラウマ化しており、なんらかのコンプレックスの表象化を始めていると言う事だ。それが光線アレルギーなのか?別の表象の仕方なのかは劇中の描写からだけではわからない。

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