ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

悼む人(2015年)の精神分析的考察(File.120)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

自分の周りにいた人が突然いなくなる事がある。

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映画 悼む人を観て「そう言う悼み方があるのか」と思った。

大学を卒業したある日、突然、大学時代の後輩の事故死を知った。今でもフルネームで言える。彼の名前を仮に遠竹勝彦としよう。そして彼の親友を高宮彰(仮名)とする。

大学で部活をしていた時に新入部員として入部して来たのが、遠竹と高宮で出身高校を聞くと、二人共、東福岡高校で、出身高校まで一緒だった。歩んでいる人生のコースが重なっている部分が多いわけで何かしらの親近感を持った。

当時はバブル時代「バイクブーム」の最中でみんなバイクに乗っており、本来の部活とは異なった「バイクツーリング」も盛んだった。遠竹と高宮はいつも一緒にいた印象があってセットで覚えている。

大学を卒業してバタバタと働いている最中(2年目)、遠竹勝彦が亡くなったと言う話を大学関係者からきいた。遠竹は大学を卒業後、医療機器関係の会社に就職。勤務先の都合で広島に引っ越し、深夜、国道を走っている時、居眠り運転の対向車(センターラインはみ出し)と正面衝突。即死だった。

遠竹は明るくフレンドリーな性格で友人知人も多く、彼の葬儀には多くの人が弔問に訪れた。遠竹は一人息子で、実父の悲しみも一入。そして、親友の高宮も相当ショックを受けているらしかった。高宮は仕事の関係で長崎へ引っ越しし疎遠になっていった。当時はまだ携帯電話もない時代。

遠竹勝彦が亡くなって約30年。今でも何かの拍子に学生時代の事を思い出すことがある。

映画「悼む人」では、亡霊に付きまとわれる石田ゆりこの姿が描かれる。高良健吾演じる主人公の坂築静人は医療機器関連の会社に就職したものの、親友の命日を忘れてしまっている自分自身にショックを受け、他人の死を自分なりのやり方で「悼む人」になる。旅人となり、死者の存命中の生き方を周辺からききだし、亡くなった人と周辺の人々との関係性を心に留める。それが、彼の死者の弔い方。

劇中で、中原中也の「汚れっちまった悲しみに……」が読まれる。

私は誰に愛され感謝され、幾人の人の心の中に存在する事が出来るのだろうか?

精神分析の世界にいると、自分自身の生き方に端を発し、他人(クライアント)の人生とも対峙することになる。子どもの頃の養育環境とか、壮絶な親子関係の話、社会に出た後の人間関係の大変さとか・・「あぁこの人の心はどれだけ言うに言われぬ痛みを心の奥底深くに沈めて来たのか」とか思いながら、クライアントの欲望「対象a」はなんだろうか?と考える。

僕の仕事は「おくりびと」ではない、僕は「悼む人」でもない。もちろん、亡くなった人を蘇らせる事もできない。

僕たち精神分析家にできる事は、トラウマに苛まれている人に寄り添い、足元を照らし、人として生きる事のお手伝いをする事だ。

対話療法(セラピー)を通して、言うに言われず押し殺して深い無意識に沈めたトラウマと悼む事が仕事。

心の病、親子関係、引きこもり、子育て、子どもの問題行動、オールOK子育て法など、ご相談承ります。

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