ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

映画 男たちの大和/YAMATO の考察(File.078)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

私の世代は、もちろん戦地に赴いた事などありはしないのだが、かろうじて実父が終戦時に予科練に入っており、よく軍隊の規律の厳しさを語っていたのを覚えている。

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私の実父は昭和04(1929)年生まれで終戦の昭和20(1945)年は16歳で迎えた事になる。
父は男三人女一人の4人兄弟の末っ子。幸いにして父の兄弟から戦死者が出る事はなかったが、長兄は終戦を大陸で迎え、シベリア抑留の憂き目にあっている。帰国してからは自衛隊に入った。小さい頃に久留米(自衛隊駐屯地)の叔父に会いに行った記憶がある。

男たちの大和/YAMATO」は2005年の作品で大日本帝国海軍の軍艦大和と乗組員の悲劇を描いている。残念ながら私たちはテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト(1974年)」世代である為に、父の言う事がさっぱりわからなかった。生まれてから物心がつくまで戦争の渦中で養育された父と、高度経済成長時代に育った私はまったく違う世界の人間であった。

男たちの大和」の劇中で年端もいかない若者・・・今の感覚で言えば中学生くらいの若者が「日本の為に命を捨てる覚悟は出来ています!」と言い切る。そう言う価値観と教育の中で父達は生きてきたのだ。

昭和20年以降の民主主義教育を受けた我々と話があう筈がない。

今にして思えば、私が感じていた生きにくさは、生まれ育った「家・家庭」と「世間・社会」との価値観のギャップだったのかもしれない。

近所の公務員住宅に住んでいる人達の子弟が履いている「白いハイソックス」が眩しくて、羨ましかった。自分はいつも毛玉がついて従兄弟のお下がりの靴下だった。

それこそ物資が欠乏している世の中で生活して来た人々と、大量生産大量消費時代に突入していく人々との価値観に大きなギャップがあった。その両方の環境と社会に身を置いている私は、場合場合で各々のペルソナ(仮面)を付け替えなければならず、いつも他者に反感を買わないように作り笑いを浮かべながら明るく振る舞う演技をしていた。今風に言えば、各々の空気を読んで生活していたのだ。子どもは天使爛漫な様で実は敏感に周囲の空気を拾っている。

男たちの大和」でも、愛国婦人会がいきなり召集令状を持って来て、おめでとうございます。お国の為に頑張って下さいと言う件がある。有無を言わさず物事が進んでいく。良いも悪いもそう言う世の中なのだから仕方ない。反抗すれば憲兵に連行される。即、非国民、国家反逆罪、不敬罪である。

そんな社会自体が抑圧された環境下で育った父母に、子どもを自由に伸び伸びと育てるのは端から無理だったのかもしれない。我が息子には見せない微笑みを他人の子どもに見せているのを目の当たりして、幼心に理不尽さを感じたのを覚えている。

口では「伸び伸び」といいながら「嫌なら出ていきなさい」と強迫・強制されるのが常であった。生活力のない子どもが家を出て行く事は=死ぬと言う事だ。そう言う意味においては私の父の心も病んでいたのかもしれない。

戦後70年。これだけ物質的には豊かで、治安もよく、安定した世の中であるのに、家庭内の親子関係は、未だに、支配・非支配の関係が続いている家があるという。それも暴力やネグレストによる支配が当たり前の様に。

父から子、子から孫への暴力・虐待による軍隊式の支配が連綿と続いている。まるで戦争が続いているかのように。

心の病、親子関係、引きこもり、子育て、子どもの非行など、ご相談承ります。

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