ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

映画「聲の形」の精神分析的考察(File.066)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

君の名は。」に隠れた名作ときいたので、早速、鑑賞してきました。

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ユナイテッドキャナルのレイトショーで鑑賞。いつものレイトショーよりは観客は多かったと思います。

君の名は。」程ではないにせよ、水中表現など、実写かと見まごうばかりの表現力。さすがです。日本のアニメ動画の表現力は世界に冠たるカルチャーだと胸を張る事ができます。

新しい表現手法としては、主人公が心を閉ざし、関係を持とうとしていないキャラの顔にバッテンマークがつく表現。主人公がひとりぼっちで、クラスメイトはおろか、先生の顔にまでバッテンマーク。物語が進む過程で、バッテンマークが1つ1つ剥がれ落ちていく展開。

実生活で、関係のない他人とは目線を合わさずにすれ違うお互いの顔にバッテンマークがついている様な感じを想像してもらえばいいと思います。

精神分析的視点で物語をチェックすると、登場するキャラの家族構成に目が行ったりするのですが「君の名は。」では母親不在だったのが「聲の形」では父親不在です。主人公の姉の夫と言う設定で黒人男性が登場しますが、物語上はさして影響のないキャラです。

父親と母親が然るべき役割分担で、子ども達の養育にあたっているシーンをみる事ができません。リア充云々の評を散見しますが、あれあれどこの家庭も父不在で、子どもたちに社会性を説いたり、範とすべき父のモデルを示す役割は誰が負っているのだろうか?と架空の物語といえども心配になる。多分、原作の設定とキャラをそのまま踏襲しているのであろうから、そもそもの日本の家庭像とか、家族のあり方が変わってきているのだなと認識した。

子ども間の問題で女同士がつかみ合いの喧嘩とか「おいおいこれが日本のリアルか」と息を呑んでしまう。

映画『ヒメアノ~ル』は高校時代のイジメが原因で、V6の森田剛が扮する森田が連続殺人鬼化する話で、物語の後半背筋が寒くなった。

現実に、中高生が飛び降りたり、首をつったりする方がリアルなイジメの先なので、上履きや所持品を隠すとか、学用品を池に捨てるとか、水をかけたり、机に落書きするレベルのイジメはかわいい範疇なのかもしれない。昨今はスマホの機能やアプリを利用したイジメが発覚してネットで炎上したりする。学校側も先生が清水寺で盗撮して捕まったり、部活の合宿で女生徒の体を触って逮捕されたり、あらあらと言う事件が続く。

西宮硝子さんの様な天使的被害者と、石田将也の様なイジメの加害者が、あっという間に心の交流を開始するストーリー展開に「ないよなぁ」と思いながら、一応、だれかに感情移入しようと試みつつ鑑賞した。

先日観た映画「怒り」のストーリー展開では、他人の意図しない言動が、理不尽な解釈で殺人をも引き起こす「怒り」に繋がることが描かれていて、おいそれと他人と接点を持つことすら憚れることを意識したら、やはり子供向けのストーリーだとこれでいいんだろうけど・・・と、汚れた大人の感性で銀幕を眺めてしまうのでした。

家族関係を含む人間関係はむづかしいです。

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