ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

ウォール・ストリート (2011年)にみる欲望の精神分析的考察(File.043 )

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

映画「ウォール・ストリート (2011年)」を観ました。

進志崇献(しんしそうけん): lacan.msl.f@gmail.com

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Amazonプライムビデオのお陰で、見逃していた過去作が手軽にチェック出来るようになった。隙間時間でチェックしていくのもなかなか大変ですが、今回、取り上げるのは・・。
ウォール・ストリート (2011年)」です。先にレビューした「ウォール街(1988年)」の続編で、「ウォール街」で刑務所にぶちこまれた金の亡者:ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)の出所シーンから始まる。

話としては、リーマンショック(2008)を素材にしたつくりで、いわゆる金融界やお金が余っている人々の貪欲さがよく描かれている。

途中、サービスカットで前作「ウォール街」でゴードン・ゲッコーの敵役で登場したバド・フォックスとバッタリ出くわすシーンがある。バドは既に金融界をリタイヤし悠々自適の生活なのだが、懲りないゴードンは金融界にカンバックを試みる。

前作と違うのは、ゴードン・ゲッコーの娘が登場したり、娘が妊娠し孫まで・・・。単に儲かった損した、乗っ取り乗っ取られと言う解りやすい金融攻防戦の筈が、悪人でも娘かわいさとか、息子が薬中になって死亡したと言う設定や、家族愛という要素が絡んできて「なんかヌルいなぁ」と言う感じがした。あら?ゴードンさんいい人?みたいな。ゴードン・ゲッコーには他人を裏切ったり、騙してでも、どんな事をしても我がが伸し上がっていく貪欲さを持ち続けて欲しかった。それこそ「家族より金が大事」と言うキャラでないと、対立軸がぶれてしまって余計な事を考えてしまうのだ。「じゃぁさっき捕まった悪役にだって家族がいるでしょ?」とか。キャラはぶれないで欲しい。ゴードン・ゲッコーには強かな悪知恵キャラでいて欲しいのだ。

まぁ、我が国日本でも昭和末期のバブル崩壊までは「長い目で見でみれば、土地や株は上がり続ける」と言う神話があって、事実、借金してでも買った土地が、長い目で見れば、借金を返しても余りあるくらい高値で売れる時代も現実にあった。

金持ちがより金持ちになり、不動産業者が何故か上目目線で殿様商売する理由がここにあった。べつに、畑に汗水垂らして肥やしを撒かなくても、登記書類の名義の書き換えをすれば法定手数料が得られるボロい商売で、当時の報道企画番組のビデオをみるとインタビュアーが「将来の夢は?」と尋ねると若者の大半は判を押した様に「不動産関係」と答えていた。敷金礼金も普通に棚子から巻き上げて。バブル崩壊時、一般庶民はベンツに乗っている不動産会社の社長に「ザーマー見ろ」的な視線を送っていた筈だ。

劇中でも語られているのだが、世界最初のバブルは「オランダのチューリップの球根の高騰」で、当時、珍しいチューリップの球根2個が、オランダのテムズ川の辺りの高級住宅の値段に匹敵したという。私も最初は「そんな馬鹿な」と思ったが、実際に調べてみると1637年2月3日がチューリップ・バブル崩壊の日と記録されている。

平成に入ってから、ずっと低迷し続ける日本経済。アベノミクスと銘打って、超異次元金融緩和措置を施しても、株価は2万円に乗せるのがやっと。最新の日経平均株価16,860円で、むしろバブルが起こらないのが不思議なくらい金融緩和しても、パットしないのが現状である。

実際に株式投資している人の話をきくと、企業業績云々はどうでもよくて既にトレーダー間の心理戦に突入している模様。株主優待制度の方が注目を集めたりして。

昨今のネットの発達で、情報の伝達スピードが恐ろしく早く量も膨大になっている為、企業の業績の好不調が折込済状態なので、期待感そのものが少なくなっているのではなかろうか?

昔なら、すごい売れそうな商品が発売されたら、その企業銘柄の株が上がると言う現象があったのかもしれないが、iPhoneの新機種だって、ソニーのプレステ4のVRだって開発状況から、発売日までみんな知っているし、逆に注目されていた商品の売行きが芳しくないと逆に株価が下がったり・・・。なかなか難しい時代になりました。

少なくとも、僕達バブル世代が社会に出る頃は、これから世の中がどんどんいい方向に、生活が潤う方向にいくのでは?と言う期待感や勘違いがあったのだが、今の世の中の雰囲気は少子高齢化でだんだん税金や社会保障費が高くなって、真綿で首を絞められるかの様な閉塞感に支配されている様な気がする。

それでも、物価が底値安定しているので庶民は耐えていけるのであって、雇用と賃金と景気と物価がセットで良くならないと、おいそれと虎の子を使ってバカンスなど一般庶民は考えもしない。

どこかの政党は景気も良くないいのに「最低賃金あげよ」とか・・。発注がバンバンあれば高いバイト代払ってでも人を雇うさ。売りげも立たないのに人件費あがったら個人商店潰れるやん。・・と素人の私でもわかってみる。

公定歩合の調整で景気を調整できていたのはいつの時代の話でしょうか?

バブル時代は、金回りで誤魔化していた心的疾病も、経済苦と共に表出しているかの様。実際、自殺の原因の1つは「経済苦」なのだから、なんとか、経済もバブルは起こらないにせよ、庶民が耐えていけるような「雇用・賃金」「景気・物価」であって欲しいと願うばかり。

精神分析では「人の欲望」を扱います。

私は他者の欲望を欲する。(有名なフレーズ)

・・・と言うことは、世間が活況を呈していなかったら、みな欲望を持たなくなると言うことです。みんなスマホを欲しても、車やバイクは欲していませんね。すごく解りやすいです。

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