ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

「君の名は。」性倒錯の悩みの精神分析的考察(File.039 )

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

大遊戯場で意外な性倒錯の悩みをきいた。

進志崇献(しんしそうけん): lacan.msl.f@gmail.com

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト
http://lacan.agency-inc.com/

「S?」「M?」一般人同士の会話でも性的なスタンスをあからさまにしながら会話をするような日常が普通になったのはいつの頃からだろうか?

LGBD:性的少数者の総称。 女性を好きになる女性のレズビアン(L)、男性を好きになる男性のゲイ(G)、両性愛バイセクシュアル(B)、心と体の性が一致しないなどのトランスジェンダー(T)の頭文字に由来する。

性的少数者の話を聞く機会も昔よりは増えた。

ひょんなきっかけから酒場で女性同性愛者の悩みをきいた。彼女の名前を仮にY子としよう。Y子は二十代、パット見は髪を染めたスタイルのよい女性である。映画「君の名は。」の話から性倒錯の話へ。

彼女の意識として性行為の対象としての「男:異性」はあっても、一緒に生活して心の交流のある対象は「女:同性」でしかありえないと。

思春期の時、最初の交際相手は異性だったが、違和感を持ち、自然に同性と付き合うようになったと言う。

今は、同性愛者として深刻な悩みを持っているわけではないが、将来的に、母親に同性愛者として生きていく覚悟をカミングアウトする時が来る事を考えると気が重く、更に、子どもは「精子バンク」を利用して産む事も考えていると言う。

彼女の養育史をきいてみると、2歳の時に両親は離婚。よって記憶の中に父親は存在せず、母親が女手一つで彼女を育てたと言う。更に2歳年上の姉は普通の異性愛者だと言う

表面的な話をきいただけなので、断定はできないが、同性愛者である彼女の精神発達の過程において「父親」がいなかったのだと思う。

女性の精神発達の過程は、男性のそれに比べて明らかに複雑なのである。

まず、愛着や基本的信頼が母との間に形成されてから、対象が父へと向う。小さな女の子が「私パパと結婚する」と言い出すのがこの現れである。更に、パパとは結婚(近親相姦)出来ない事を悟って、近親者でない異性に対象が向う。この過程を女性のエディプスコンプレックス期と呼ぶ。

Y子の場合、両親の離婚によって「父不在」となった。ここで、実父の代行をする異性の存在があれば、話は違ったのかもしれないが、実母が頑張って「実父」の代行をしてしまったが故に、Y子の精神発達過程で性愛の対象である異性が欠損してしまったのである。
Y子の中では性愛の対象は異性でなく母親:同性の向こう側に存在する同性:女性である。象徴界に性愛の対象として「女性」を登録してしまったのだ。

しまった・・と書いたのだが、Y子の様なケースの人は非常に多くなっているのではなかろうか?少なくとも珍しくない。離婚率の上昇、シングルマザー、男女雇用機会均等法による職業による性差の消滅。社会における「父性」や「男らしさ」の不鮮明感・・。

性倒錯、親子関係、引きこもり、子育て、子どもの非行など、ご相談承ります。

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト
http://lacan.agency-inc.com/

オールOK子育て法 再考察
http://agency-inc.com/all-ok/

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト(スマホ対応)
http://agency-inc.com/for-pad/

精神分析家のセラピー日記(進志崇献)
http://agency-inc.com/journal/

進志崇献(しんしそうけん)公式フェイスブック
https://www.facebook.com/lacan.msl.f

進志崇献(しんしそうけん)公式ツイッター
https://twitter.com/lacan_msl_f