ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

「君の名は。」「転校生」「ストップ!! ひばりくん!」性同一障害の精神分析的考察(File.035)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

最近、何かと世間を騒がす「性同一障害」について考察してみた。

進志崇献(しんしそうけん): lacan.msl.f@gmail.com

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TBSラジオのウィークエンド・シャッフル(毎週土曜日夜放送)の人気コーナー「ザ・シネマハスラー」をきいた-「君の名は。」の評の中で、やっぱり師匠も「転校生」大林宣彦監督を引用されていた。

「転校生」とは、思春期の男女の心と体が入れ替わってしまう青春コメディー実写映画で、私の世代では、「転校生(1982年)」斉藤一夫が尾美としのり(演)、斉藤一美小林聡美(演)で、リメイク版「転校生-さよなら あなた-(2007年)」では斉藤一夫が森田直幸(演)、斉藤一美蓮佛美沙子(演)となっている。

「さよならあなた」では一美が不治の病にかかってしまう悲しい設定になっており、私の中では1982年版の「小林聡美」がピカイチである。

あの、男女の心と体が入れ替わってしまうシーン。有る筈のペニスがない。無い筈のオッパイが有る。驚き戸惑いながらも、お互いを気遣う存在になる二人。なかなか性教育的な側面もあって、見るべき映画であった。

君の名は。」でも「転校生」と同様のシーンが展開される。

男の体なのに女性の心、女性の体なのに男性の心、今風に言えば「性同一障害」になってしまう男女の物語と言う見方もできる。

私の記憶の中では、古くは手塚治虫先生の「リボンの騎士」のサファイア王子もそれだし、江口寿史先生の「ストップ!! ひばりくん!」の大空ひばり君だってそれだ。

ちょうど私が、今、紐解いている本が「性倒錯の構造―フロイト/ラカンの分析理論 著:藤田博史」なので、ネットで色々検索してみた。

芸能活動をしている人では、マツコ・デラックス(女装家、男性同性愛者:ゲイ)。ミッツ・マングローブ(女装家、男性同性愛者:ゲイ)・・本名は徳光修平で、徳光和夫(伯父)さんの甥にあたる。はるな愛さんはニューハーフ、佐藤かよさんも性別適合手術を受けたらしい。上記のみなさんは生まれた時は「男性」だったが、成長する過程で「性同一障害」を自覚したという事らしい。

解剖学的には性染色体XY:男、性染色体XX:女で「性の決定」がなされるが、受精後、8週目までの間に身体の性別の臨界期(変更の可能な時期のこと)が、5~8か月までに脳の性別の臨界期がある・・と記述している資料があった。・・が「なぜ性の不一致が起こるのか?」など詳しいことは未解明らしい。

ホルモン異常や、脳生理学的な事は別して、精神発達論から考察すると、人は象徴界に「男」を登録するか「女」を登録するか、もしくは何も登録しないユニセックスを選ぶかが精神的な性の選択になる。

古くは、南総里見八犬伝(江戸時代後期)に登場する八犬士の一人「犬塚信乃」は、元服まで性別を入れ替えて育てると丈夫に育つという言い伝えに母が願いを託したため、女名をつけられ、女装されながら育てられた。・・と言う設定になっている。

男に生まれたのに女として育てられるケースはままある事だったのかもしれない。本当は可愛い女の子を望んだのに生まれたのは男の子。赤い服を着せて可愛がった・・なんて話もきいた事がある。

精神発達論からすると、象徴界への性別の登録がうまくいかなかった人達が「性同一障害」になると言う理屈だ。

ここで問題になるのは、道徳とか倫理とか言う問題。宗教的には子を宿さない同性愛はタブー視されるし、社会的にも、基本、一夫一婦制で一世帯とする行政単位があったりして、男と女のカップリングが基本と言う世の中が出来上がっているので、やはり同性愛はNGで異端扱いされてしまう。

ところがだ、ちょっと調べただけでも、名立たる戦国大名織田信長(蘭丸)からレオナルド・ダ・ビンチ、三島由紀夫・・数多くの表現者達が同性愛者として検索ヒットする。

セックス(生殖)するカップリングが男と女で、セックス(生殖)しないカップリングで同性愛があって、性とは各々が選択するものと言う解釈が正しい文脈の読み方の様な気がしてくる。

願わくば、本人が悩まないように解剖学的な性と精神的な性は一致するように生まれ育つ方が今の社会を生きる上では好ましいのだろう。

1985年以前の日本社会は「男女雇用機会均等法」何て言う法律は存在しなかったので、職業的な立場による「性差」が普通にあった。例)今の看護師と言う職種は看護婦(女性専業)であった。今は、基本、雇用においては性差は認められておらず、社会的かつ職業的性差がぼやけてしまい、よりっそうユニセックス化している様な気がする。草食男子、肉食女子など・・。男がいなければ社会性「父性」を発揮する父も不在で、ますます少子晩婚化に拍車がかかり、長い目・・いや既に近い目でみても、社会の活力が阻害されていっているのではなかろうか・・・?

性の問題は難しい・・性倒錯については、いづれまたの機会に・・・。

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