ラカン精神科学研究所 福岡

福岡の精神分析家 進志崇献 が精神分析的視点で綴っています。人はコンプレックス(無意識)に支配されています。

探偵ナイトスクープ『イクちゃんに会いたい』にみる親子の絆の精神分析的考察(File.029)

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

3.11以降最も露出度が高くなった言葉「絆」。はてさて「絆」とは何だろう?

進志崇献(しんしそうけん): lacan.msl.f@gmail.com

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト
http://lacan.agency-inc.com/

みなさんは朝日放送探偵ナイトスクープ」と言う番組をご存知でしょうか?更にネット上で神回とされている「イクちゃんに会いたい(2015年05月01日)」を取り上げる。

以下ネットから引用

探偵さんへの依頼文は次の通り。

和歌山県にお住まいの白山由紀子(29)さん自営業の方からのご依頼です。

私は21歳で結婚、22歳で長女(波音)、23歳で次女(天音)を出産、そして24歳で離婚。それから同級生だった方とお付き合いする様になり28歳で再婚しました。依頼はその主人:白山泰雅(たいが)の事です。彼はとても複雑な家庭環境で育って来ました。生まれてすぐに父親と母親は別れ父親に引き取られたそうです。物心がつく頃には父親の恋人でイクちゃん(網郁子)と言う方が彼を育ててくれました。彼はイクちゃんの事をずっと本当のお母さんだと思っていましたが、彼が小学生になる頃に父親とイクちゃんは破局し、父親とイクちゃんとどちらについて行くか問われたそうです。彼は迷わず「イクちゃん」と答えたそうですが、父親が「お父さんを選べばゲームボーイをかっちゃる」の一言に、いつもおねだりをしても買ってもらえなかった彼は父親を選んでしまったようです。それから父親との関係は悪くなり中学高校と非行に走った時期もあったそうです。「成人してから真面目にやってこれたのはイクちゃんのおかげだ」と言っています。血の繋がらない私の娘二人が初めてパパと呼んだ時に涙をためた嬉しそうな顔「大事なのは血の繋がりではない一緒に過ごした時間が大事なんだ」と言ってくれた時「この人に一生ついて行こう」と決めました。そんな彼と私の間に男の子(煌雅)が生まれました。「我が子を抱いてみて本当のお母さんに見せたいと思わないの?」ときいてみました。すると彼は「俺の中のお母さんはイクちゃんだよ。イクちゃんにみせたいなぁ」と少し悲しげな顔をしながらいいました。そこでお願いです。彼にイクちゃんに会わせてあげたいのです。そして、イクちゃんに私達の子を抱いて欲しいのです。お願いです。

以上依頼文(全文)。

とにかくヤンチャで女癖が悪いお父さん(結婚5回)。さて、泰雅さんとイクちゃんは再会できたのか?動画をGoogl検索して泣いて下さい。

この依頼文のキーワードは「大事なのは血の繋がりではない一緒に過ごした時間が大事なんだ」・・・どこかで聞いた事がある文言だなと思い脳内検索してヒットしたのは映画「そして父になる(2013年)」で、斎木雄大(リリー・フランキー)が野々宮良多(福山雅治)に向かって吐く言葉だ。

月刊 精神分析 2013年11月号 そして父になる
http://agency-inc.com/like-father/

さて、ここで大いなる疑問

精神分析的「親子関係」とは?

「そして父になる(2013年)」が公開された時も議論になったのだが、母子関係は「たしかに私がお腹を痛めて産んだ子」と言う実感があるのだが、父子関係は「貴方の子」と言われても正直実感がわかないと言うケースが語られる。

日本で初の体外受精で所謂、試験管ベイビーが誕生したのが、1983年(昭和58年)10月14日(於:東北大学医学部付属病院)。赤ちゃんの取り違えどころか精子の取り違えが起こらないのか?と心配になるが、・・・2013年に行われた体外受精は36万8000件あまりと10年前の3倍以上に増え、過去最多を更新したことが日本産科婦人科学会のまとめでわかりました。・・・もうセックス不要ですね。

タレントの向井亜紀さんが、子宮全摘出術を受けた後、体外受精代理母出産により2003年11月双子の男児を得る。・・・出産の為に私のお腹を痛めなくても大丈夫。

昨今では、卵子の冷凍保存がトレンドとか・・

年齢が上がると、いわゆる「卵子の老化」によって、妊娠が難しくなることが広く知られるようになり、若いうちに卵子を採取し、保存したいと考える女性が増えたことなどを受け、日本生殖医学会は13日、健康な未婚女性にも卵子凍結を認めるなどとしたガイドラインをまとめた。・・・のが2013年の事。

子どもは「天からの授かりもの」と言う概念は大きく変わり、人工的な手続きによって獲得するものとなった。

男女の感情の高ぶりもなく、体の交わりもなく、人工的な手続きによって、場合によっては他者の子宮を借りて「私の子」「貴方の子」が誕生するのである。

さて、その後の親子の「絆」は如何によって紡がれるのか?

精神分析学の中に精神発達論と言うのがある。フロイト先生とか、メラニー・クライン先生が一生懸命研究された成果で、人が健全に精神を育むにはこう言うプロセスがありますよと指し示した学問である。

基本、母子関係は授乳を通した「まなざし」と「スキンシップ(抱っこ)」から始まる。世のお母さん達には是非是非ここで「絆」を学習して欲しい。

もっと言えば赤ちゃんは、お母さんのお腹にいる時の記憶もちゃんと持っていて、自分の誕生が待ち望まれているのか?もちゃんとわかっていると言う。胎児は見ている―最新医学が証した神秘の胎内生活(1997年)を読むと良い。

我々、精神分析家の間では「0歳時保育」が当たり前に言われるような状況に大きな危惧を抱いています。母子関係「絆」の構築には母の存在が不可欠で、0歳時から寄る辺ない存在の乳飲み子を他人に預けて仕事に出かける事が奨励されている様な状況が、後々の日本社会に暗い影をおとす事になるのでは・・・と。

子どもの非行・心の病・親子関係・引きこもり、子育てアドバイス・ご相談承ります。

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト
http://lacan.agency-inc.com/

オールOK子育て法 再考察
http://agency-inc.com/all-ok/

ラカン精神科学研究所 福岡 公式サイト(スマホ対応)
http://agency-inc.com/for-pad/

精神分析家のセラピー日記(進志崇献)
http://agency-inc.com/journal/

進志崇献(しんしそうけん)公式フェイスブック
https://www.facebook.com/lacan.msl.f

進志崇献(しんしそうけん)公式ツイッター
https://twitter.com/lacan_msl_f